「ただいま」
からだの緊張を解いて、心地よい呼吸をして、こころを静めると
安らぐ瞬間がおだやかに訪れます。
そして、本来の自分自身と向き合う。
それがヨガの目的(self-realization/development) であり、そのプロセスがヨガです。
本来の自分に戻り、自分らしくなる瞬間に、ヨガを通じて、いつでも、どこでも、出会えるでしょう。
「ただいま」どうぞ、そんな気持ちでヨガを楽しんで下さい。
ヨガとは何か?
ヨガといって最初にイメージされる事が多いのがポーズです。
アーサナ(ポーズ)で、からだを動かし、ストレッチして、全身の筋肉・関節を使い身体を整えます。
生理学的には、その動きはエンドルフィンというリラックス感や幸福感をもたらす脳内神経伝達物質の発生を促し、
その効果が実感しやすく、アーサナで動いたあとリラックスしてスッキリします。
ただアーサナは196節からなるヨガの経典「スートラ」の中で3節だけしか記されていないヨガのほんの一部なのです。
そこで、ヨガとは何か?を理解する為に、
紀元前3-5世紀にパランジャリによって記されたヨガの根本経典「ヨガスートラ」の冒頭部分をご紹介します。
「ヨガスートラ」は196の文節から成り、スートラは「糸」を意味し、
糸のように短い文章を連ねてヨガの定義・目的・練習方法等が説明されている、
ヨガの「取扱説明書」的存在です。
アタ ヨーガヌシャーサナム
「ここにヨーガを説く」
ヨガの語源は「yuj」(ユジ)という「馬と荷台をつなぐ」という意味のサンスクリット語で、
馬車をうまくコントロールすることを意味します。
ヨガとは心と身体、意識と無意識、自分と外の世界を結びつけ、
つながりの中で自分を上手にコントロールしながら人生の目的を達成することです。
ヨーガハ チッタ ヴリッティ ニローダ
「ヨガは心の動きを止めること」
心は常に変化しています。
喜怒哀楽に染まり、過去を振り返り、未来を空想し、常に動き回っています。
ずっと心の動きに任せていると、頭は疲れ、多くの時間とエネルギーが消耗されてしまいます。
心の変化に気づき、動きを収めることによって、自分がやるべきことに集中することが出来ます。
タダー ドラシュトゥフ ソヴァルーペ アヴァースタナム
「その時、人は観る者である本来の自分にとどまる 」
例えば「本来の自分」が湖の底だとすると、心の動き(ヴリッティ)は波や水のにごりです。
波が立ち、水がにごると湖の底はちゃんと見えません。
そして心の動きが映した歪んだ像を「本来の自分」と同一視してしまいます。
心の動きが止まり、湖が静かで澄んだ状態となって初めて「本来の自分」が見えるのです。
ヴリッティ サールーピャム イタラトラ
「それ以外の時は、観る者は心の動きに同化している」
心の動き、例えば悩みや苦しみ、恐れや怒り、
執着や不満が自分だと思い込んでしまうことが人の苦悩の原因になります。
変化しない本来の自分自身が観る者で、変化する心の動きが観られる者。
この二つを混同しないで、見極めます。
そうすることで心の変化にとらわれない自由な観る者である自分自身が、
心という道具を使いこなし、何かに縛られる事なく自由に自分らしい人生を生きていく事ができます。
それがヨガのゴールであり、ヨガが目指す生き方です。
ヨガと取り入れることで、日々の生活が自分らしく輝きますように。